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片岡義男風に

2011年09月13日

先日、書棚を整理していると、佐藤傳次郎の写真に片岡義男が文章をつけた本が出てきた。
これは20年くらい前にある人からプレゼントしてもらたった本で、大好きな本だったのだが、いつの間にか本箱の片隅に追いやられ、あることさえ忘れていた。
改めてページをめくると、サーフィンに夢中だった頃が思い出され、とてもハッピーな気持ちになったので、これは大切にしないといけないと、
これ以上劣化しないよう、図書館でやっているような透明カバーフィルムをかけて本棚にしまった。
 
片岡義男風に
 
半分に切ったパパイアにレモンを絞りながら、彼女は言った。
「ここでは、なんの仕事をしているか、どんな立場にいるかなんて意味がないのよ」
「意味があるのは、いい波に乗るってことだけ」
パパイアをほおばりながら、こう続けた。
「でも…いい波に乗ると、あなたのデザインにいい影響があると思うわ」
そんないきさつから、9ft の板を借りて、一緒にパドルアウトすることになった。
10年ぶりの波乗り。
彼女は、最初のセットを見つけると、スっとアウトサイドへパドルし、レギュラーの波をメイクした。
グーフィーフッターの彼女は、見事なバックサイドで、必死にパドルする僕を横目に笑顔でカットバックを決める。
ラインナップに戻ってきた彼女は、
「次はあなたの番よ」といって、沖のセットを指さす。
 
ぼくも、パドリングを開始し、波のピークを狙う。
徐々にボードのテールが押し上げられていく、ひさしぶりのこの感覚。
板が滑りだした。波の向こうで「今よ!」の声が聞こえる。
迷わずテイクオフ!気持よく波の斜面を滑っているはずが、テイクオフに失敗し、見事なパーリング。
「くそっ」
ボトムに叩きつけられ、波に揉まれてボードともども海底に引っ張り込まれる。
泡状に砕けた波は、ほとんど浮力がなく、当分浮かび上がることはできない。
波に巻かれながら、仕事の締切のことが頭をよぎった。
と同時に、サーフィンすれば何もかも忘れることができる。なんて、嘘だなと思った。
 
やっと、海面に顔を出したら、もうほとんど岸に近いところまで連れていかれていた。
もう一度、パドルアウトする元気もなく、雨の日の捨て犬のごとくとぼとぼと岸に戻った。
もう止めているが、長年の喫煙による心肺機能の低下、飽食による脂肪の蓄積が、波乗りとは程遠い体にしているようだ。
 
つづく・・・かもしれない。

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